あられもないズボン

打ち合わせの時のこと。
私は聞き役に回っていた。
相手に意識を向け、私に何を伝えたいのか理解しようとしていたのだが...
この人の話しは、やたらと長い。
もっとコンパクトにまとめて話せないものだろうか。
視線を合わせているのも面倒になり、ふとズボンに目を向けた。
このズボンも、ずいぶん年季が入ってしまったな。
擦れて薄くなってる部分が、あちらこちらにあるではないか。
どれどれ。あっ、裂けちゃった。
ちょっと引っ張っただけなのに。ズボンってこんな簡単に裂けちゃうものなの？
右足はどうだろう。
同じだ。面白いように裂けてしまう。
後でお客様先に行く予定なんだけど、一体どうすりゃいいの？
ひょっとして、オシャレだと思われたりしないだろうか。
いやいや。チノパンが裂けてたら、そりゃおかしいに決まってる。
あぁ。もう相手に意識を向けるどころではない。